Feb23,2011

#221 横田屋窯(その3)

yukutayagama_hakeme1.jpg yukutayagama_hakeme2.jpg

横田屋窯の刷毛目皿

 やちむんには釉薬による絵付けの他に、線彫り、飛び鉋、指書き、イッチン等の加飾技法が使われ、様々な表情を見せます。化粧土に刷毛の跡を残す「刷毛目」もその一つ。沖縄では九州や朝鮮の製陶技術の影響を受けたためか、古い壷屋焼きにも刷毛目が見られ、現在でも定番の技法となっています。
 とはいえ、刷毛目の器は本土でも多くありますし、上焼のやちむんの中では比較的地味な装飾のため、当初はあまり注目していませんでした。
 気になり始めたきっかけは、数年前に買った金城次郎さんの作品集。魚や海老の線彫りで有名な金城次郎さんですが、轆轤挽きや絵付けなど何をやっても上手いといわれた職人肌の陶工でした。刷毛目の腕もすばらしく、沖縄らしいおおらかさと勢いのある線に釘付けになりました。
 それ以来、やちむんを買い求める時には、良い刷毛目の器がないか探すようにしています。
 こちらの皿は、はじめて横田屋窯を訪れた際に購入したもの。最初は色味のある絵付けに目がいきましたが、ふと横を見ると刷毛目のお皿が。すぐに「これだ!」と思いました。
 刷毛使いには勢いがありますが、その中には横田屋窯らしい丁寧で優しい風合いが。絵付けは奥さんが担当しているので、もしかしたら刷毛塗りも奥さんがされているのかもしれませんね。
 これまでに紹介した様々な器にも「料理が映える」といった表現を使ってきましたが、こちらの器も抜群です。地味ながら料理を盛った時の表情の良さは格別です。
 刷毛目のやちむんには沖縄らしい色目の釉薬や線彫りを施したものもあり、また違った魅力があります。他の窯元でも買い求めて、少しずつ集まってきていますので、また折を見て紹介していきたいと思います。

Memo:
 刷毛目(はけめ)とは、陶器の装飾技法のひとつ。泥漿にした化粧土を刷毛や藁を束ねたもので塗り、刷毛の跡を残したもの。濃い色の素地に白い化粧土を重ねて、色の濃淡を出すことが多いです。刷毛の勢いや荒々しさを残したものから、繊細に刷跡をおいたものまで、シンプルな技法の中に作り手の個性が現れます。また、この上に線彫り、掻き落とし、釉薬による絵付け等の装飾を施すこともあります。
 朝鮮半島が発祥です。李朝初期15世紀頃から南鮮一帯で焼かれ、日本では16世紀に刷毛目茶碗が茶人に取り上げられて珍重されました。17世紀初頭には、唐津焼において刷毛目の作品が現われ「刷毛目唐津」と呼ばれています。現在でも食器等に広く使われ、人気のある技法です。


posted by Mami & Tetsu at 21:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | テーブルウェア>陶磁器

Dec08,2010

#218 Ovenware

ovenware.jpg

安藤雅信さんの耐熱器

 今回は作家モノ。昨今の器ブームもあり、「超」が付くほどの人気がある安藤雅信さんの耐熱器。
 安藤さんをはじめて知ったのは5年ほど前。芸術新潮のスリップウェア特集で、スリップウェアを茶道具に使ってみようという趣旨のコーナーでのこと。多治見の自宅兼ギャラリーにある茶室で、スリップウェア発祥の地にちなみ英国風に茶会をしたて、壁に額装したビートルズのホワイトアルバムが掛けられたり、お茶の椀はルーシー・リーだったり。面白くてカッコいいことをする人だなという印象でした。
 その後、器特集の雑誌等で見かけることがチラホラと、取り扱う店舗もあちこちに。ちょうど気になっていた頃に、伊賀のやまほんギャラリーで安藤さんのオランダ皿と出会いました。残念ながら、こちらは想像していたものとは質感が違い、少し好みに合わないかなという感じでした。でも、逆にまとまった量の作品を実際に見てみたいという思いにもなり、昨年、ギャルリ百草を訪れました。
 一番に気にいったのが耐熱器のシリーズ。自宅用に2つとプレゼント用に1つ、計3つを大人買いしてしまいました。
 安藤さんは、古い器にインスピレーションを得た器づくりも多く手掛けており、こちらも鉄器がモチーフになっているとのこと。持ち手のカタチや鈍い光沢の釉薬は、まさに金属のよう。
 異質な風情ながら、重量感のある黒には食材がよく映え、他の器との相性もいいですね。主張は強くないものの、確かな存在感があります。
 耐熱らしくオーブン料理に使うこともあれば、サラダや和え物の類も彩り鮮やかに盛ることもできます。この辺は陶器ゆえの使い勝手の良さが発揮されます。
 出番待ちの多い我が家の食器類の中、頻繁に食卓に上る活躍ぶりです。
posted by Mami & Tetsu at 23:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | テーブルウェア>陶磁器

Nov28,2010

#217 Boch Plate

boch_plate.jpg

ボッホ[Bosh]製の皿

 今回は白い皿。
 直径23cmほど。リムが広いので、ちょうどトーストがのるぐらいのサイズ。これぐらいの白いお皿は使い勝手が良いので、持っているという方も多いのでは。
 厨房メーカーや有名陶磁メーカーの業務シリーズだったり、雑貨店で売っている無銘のものや、100均でも手に入るかもしれませんね。
 気軽に手にしがちですが、この「白」というのが意外に難しいのです。
 白い器だけの本があるぐらいで、フランスやオランダ等の古い磁器やら、李朝や古伊万里の白磁などもあれば、日本の作家さんで質感の良い白い器を手掛ける人も数多くいます。古今東西の白い器を集めたら、どれだけ膨大な量になることか。
 微妙にカタチや質感が異なり、値段もピンキリ。これぐらいなら良いかなという無難なものが大量にあるので悩ましい。
 ところが、本当にいいなと思うものに巡り合うことは、ごく稀です。とても人気のある有名作家さんの白い皿が、写真では良さそうだったのに、実物を見たら、あまり好みに合わなかった経験もあります。
 実際に手にとって、直感でピンっときたものがあれば、買っておく方がいいかもしれません。シンプルな白い皿までお気に入りで揃えられれば、一層に幸せな食卓になるはずですから。
 こちらは、前に紹介した白い大皿と同じ方から購入しました。1960年代頃のもので、ベルギーのボッホ[Bosh]社(現在のRoyal Boch社)の製品です。
 あの大皿ほど古くはなく、光沢感が残っており、それほど使い込まれた感じではありません。でも、色目や厚みなど、細部のちょっとした違いの積み重ねが、他にはない風合いにつながっています。
 この良さを伝えることは、やはり、とても難しいです。
posted by Mami & Tetsu at 15:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | テーブルウェア>陶磁器

Sep27,2010

#214 読谷山焼北窯(その2)

yomitankita_hira.jpg

読谷山焼北窯の平鉢

 読谷山焼北窯は、ひとくくりに取り扱われる場合も多いのですが、4人の親方がいて、1つの登り窯を共用しています。やちむんの里の共同販売所でも、陶器市でも、あまり表示されずに売られているので、意識することは少ないかもしれませんね。
 共同販売所のおばちゃんによれば、それぞれに別々の個性があって、ずっと見ていると分かるようになるらしいです。でも、やちむんらしい定番のカタチや柄となると、どこのものなのか、素人目にはとても判別がつきません。
 あまり気にせずに感覚的に好きなものを選んでいるため、手元にある北窯のやちむんも、どの親方なのか分からないものが多くあります。ただ、共同販売所でまとめ買いをした時に、自然に選んだものが松田共司さんと松田米司さんのものばかりで、好みがでるのだなと思った経験があります。
 今回紹介する平鉢は、いつも我が家が選ぶ北窯のやちむんとは少し趣きが違って、つくりに荒々しさがあります。こういう雰囲気もいいなと思い購入したところ、こちらは宮城正享さんでした。宮城さんの特徴は、販売所のおばちゃんによると、重量感があるものが多いとのこと。さらに詳しい人によると、沖縄らしい伝統的なカタチに近く、力強い焼き上がりなのだとか。
 大胆な飛び鉋を、二彩で色づけ。粗い彫りと大胆な筆づかい。焼きは強めで、表面はざらっとしています。厚みがあって、低い重心のつくり。男っぽい仕上がりですね。
 なかなかパワー系の器ですが、色々な料理が映えます。ゴロゴロとした煮物や炒め物などはしっかりと受け止め、シンプルなサラダも難なくこなします。蕎麦を盛っても抜群で、便利に使っています。
 北窯が好きという方は、4人の親方を意識してみるのも、おもしろいと思います。とりあえず好みで選んだ後で、どの親方のものかを確認すると新たな発見があるかもしれませんよ。

■関連記事
#212 読谷山焼北窯(その1) 読谷山焼北窯のビアジョッキ / キッチンツールスタンド
posted by Mami & Tetsu at 22:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | テーブルウェア>陶磁器

Aug26,2010

#213 茂生窯(その1)

shigeo_kata1.jpg shigeo_kata2.jpg

茂生窯の片口椀

 最近とても気に入っている沖縄の窯の1つが茂生窯の上江洲茂生さん。
 茂生窯のことは、厨子甕(ジーシーガミ)の作り手として雑誌等で紹介されているのを、以前から幾度か見かけていました。その後、ディスカバー・ジャパン Vol.2に載っていたお皿を見てから、とても気になる存在に。花唐草文の沖縄らしい定番の柄なのに、これまで見てきたものとは明らかに違う雰囲気でした。
 はじめて実物を見たのは壺屋陶器事業協同組合の共同売店。上江洲茂生さんは、昭和55年に読谷村座喜味に登り窯を築いて以来、同地で作陶を続けていますが、もともと小橋川永昌氏(2代目仁王)に師事していたため、壷屋の組合員となっているようです。こちらの共同売店に置いてあるものだけでも十分に魅力的で、もっと色々と見てみたいと思うようになりました。
 その翌年、沖縄を訪れた時に茂生窯のやちむんを探しました。できれば窯元にも行きたいとも思ったのですが、個人が行って買えるような感じではないと聞いて、あきらめることに。それでも取り扱っているお店を何ヶ所かまわり、色々と手に入れることが出来ました。
 こちらは、側面に線彫りで花をあしらった片口の椀。
 重量があり、しっかりとしたつくりながら、優雅で洗練を感じさせるライン。線彫りで描いた上に釉薬で色付けした花は、なんとも艶かしい雰囲気。
 色・カタチ・柄など、やちむんらしい作りながら、やはり見慣れた読谷山焼や北窯とは雰囲気が異なります。言葉では説明しがたいのですが、独特の趣があります。
 茂生窯のやちむんを見ていると、まだまだ沖縄陶器の世界は奥深いなと感じさせられますね。
posted by Mami & Tetsu at 21:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | テーブルウェア>陶磁器
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。