Jan12,2008

#164 GN Shallow Bowl

nylund.jpg

ガナー・ニーランド / グンナー・ニールンド[Gunnar Nylund]デザインのロールストランド[Rorstrand]製の皿

 一時ほどの過熱感はなくなった気がしますが、すっかり定着しつつあるモダン期の北欧ヴィンテージ陶器類。
 陶器類とひとくちで言っても幅広いのですが、動物の置物に熱狂的なファンがついているリサ・ラーソン[Lisa Larson]を除けば、日本での人気を牽引しているのは、やはりテーブルウェアなどの器ですね。食器、花器など、使うための「器」という感覚は日本の文化でしょうか。飾るためだけの陶芸作品というと、なんだか大げさな感じがしてしまいますよね。
 でも、欧米では飾るモノに人気があります。陶芸家の作品を美術品のように扱い、鑑賞することを目的とします。そういったモノは、Vase(直訳:花瓶・壷)やBowl(直訳:椀・鉢)と表現されていても、何かの器として使うのではなく、はじめから鑑賞用として作られます。
 そう思えば日本は区分が曖昧ですよね。本来は食器である茶碗が、陶芸家の手によって芸術作品にまで仕上げられ、美術館の収蔵品クラスにもかかわらず、お茶の席で鑑賞しながら、器として使ってしまう国ですからね。ルーシー・リーの後期作品の芸術的な椀で茶を点てるなんてことは、欧米コレクターからすればクレイジーなのかもしれません。
 北欧においても鑑賞用やインテリアとしての陶芸製品が多く作られています。個人の工房だけでなく、グスタフスベリ[Gustavsberg]、アラビア[Arabia]、ロイヤルコペンハーゲン[Royal Copenhagen]といった大きな製陶会社がアーティストを招き入れて、自社の工房で創作活動を支援しました。また、その活動を工場製品にフィードバックするようなシステムを構築することにより、とても質の高い陶芸製品を生み出しました。
 こういったモノは日本でも北欧モダンインテリア好きを中心に人気がありましたが、近年の北欧ブームの影響で支持層がジリジリと増えているように感じます。その代表格がガナー・ニーランド。スカンジナヴィアン・セラミック&グラス:1940年代−1980年代[Scandinavian Ceramics & Glass: 1940s to 1980s]の表紙をかざる水差しのようなベースは、あまりに有名ですね。モダンなフォルムと非常に複雑で深みのある釉薬使いが特徴的で、世界中にコレクターがいます。
 フォルムデザインや釉薬が秀逸なモノは人気が高く、相応の値段がするのですが、これぐらいのモノであれば手頃な価格で手に入れられます。釉薬の雰囲気を味わうには十分ですね。釉薬と共にゴツゴツとした肌合いも素晴らしいです。彫刻家の父を持つニーランドらしい、彫刻家的なアプローチなのかなと想像します。
 この頃、個人的に北欧陶芸のアートピースに力を入れようかなと思案していますが、海外での人気も高いので、主な購入先になるであろうeBayでの競り合いが予想されます。とりあえずはユーロの強さが最大の敵なのですけどね…。

Memo:
 ロールストランドは1726年に当時のスウェーデン統治者フレデリック1世の命により創業。スウェーデン最古の磁器製造所で、ヨーロッパでも2番目の歴史を誇ります。高品質で装飾的な磁器のティーセットやディナーセットは高い評価を得ており、当時の製品は現在でもアンティークファンに人気があります。ノーベル賞授賞式の晩餐会で必ず使用される食器「ノーベル」は、同社の高い技術を象徴しています。戦後は、ガナー・ニーランドやカール・ハリー・ストーハン[Carl-Harry Stalhane]に代表される陶芸家やデザイナーを招き入れ、シンプルで芸術的なスカンジナビアン・モダンデザインを展開しました。また、同社は1873年にアラビア社を子会社として創業したことでも有名です。時代と共に規模を拡大し、移転を繰り返した同社ですが、1960年代以降は幾度かの買収や合併を経て、現在はイッタラグループのブランドの1つとなっています。
 ガナー・ニーランド(1904年パリ出生)は、スウェーデンとデンマークで活躍した陶芸・ガラスデザイナーです。1923年〜1925年にコペンハーゲンで建築を学びましたが、若き日の彼が最も影響を受けたのは、ドイツの陶芸家であった母と、フィンランドの画家・彫刻家であった父でした。ビング・オー・グレンダール[Bing & Grondahl]に見習いとして入り1926年から1928年まで働きました。1929年に、そこで出会ったナタリー・クレプス[Natahalie Krebs]と共に、サックスボー[Saxbo]の前身となるワークショップNylund & Klebs Keramiske Vaerkstedを始めました。1931年からはロールストランドで働きはじめます。1937年から1938年の間にB&Gのアートディレクターであった時期をのぞき、1958年までロールストランドを牽引するアーティストの一人として活躍しました。釉薬を駆使したストーンウェアで、モダンで優美な作品群を作り出すと共に、実用的な磁器製品のデザインも手掛けました。ロールストランドでの活動に加えて、1954年から1957年の間にはスウェーデンのStromberghyttanというガラス会社でアートディレクターを務めています。1959年にニモーレ[Nymolle]のアートディレクターとしてデンマークに戻り、同社で1974年まで働いた後に、フリーランスとして活躍。その後は自身の工房でガラスや金属を中心にした創作活動を続けました。


posted by Mami & Tetsu at 12:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 置物>その他
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