Oct14,2006

#127 Alan Wallwork

alan_wallwork.jpeg

アラン・ウォールワーク[Alan Wallwork]の陶器製ベース

 ロンドンのマーケットで一番大きな買物がこれ。
 英国の陶芸というと、どんなイメージでしょうか…。最近は民藝ばやりの影響か、スリップウェアに注目が集まっているので、古くから日用品としての陶器が作られていることは分かりますよね。現代陶芸では、日本でも絶大な人気を誇るのがバーナード・リーチ[Bernard Leach]、ハンス・コパー[Hans Coper]、ルーシー・リー[Lucie Rie]の3大巨匠。英国の現代陶芸は帰国したバーナード・リーチがセント・アイビスに窯を開いたことが始まりで、リーチの系譜上にある陶芸家達は日本でも知名度が高いです。他方で、ハンス・コパーとルーシー・リーは直系の弟子を持たなかったと言われますが、その作品群が英国の陶芸に与えた影響は計り知れません。
 いわゆる巨匠の作品は取引される場所も違うだろうし、値段も手の届く範囲ではないので、マーケットで見かけることはないだろうと思っていました。でも、英国らしいモダンな陶器に巡り会えたらと思っていたところ、これに出会いました。
 場所はコベントガーデンのアップルマーケット。中心地近くにあるため、観光客が訪れることも多いマーケットの一つですね。アップルマーケットは月曜日がアンティークの日(2006年9月現在)なので、これを狙って行きました。ストールと呼ばれる露店が集まっていて、日本の骨董市に雰囲気が似ています。英国ではアンティークというと、本気で古いモノが多く、モダンデザインを扱う方も最近は増えてきているようですが、少数派との話を聞いていました。実際に行ってみると噂どおりでしたが、我が家的には、それはそれで楽しめます。Mamiはアンティーク・ジュエリーに夢中、Tetsuは古い鍵やシルバー製品を物色したり、ブリキの車にクギ付けになってみたりと…。
 そんな中に一つカッコイイ店がありました。大胆な発色のプール[Poole]の大皿が飾られていて、パッと見て好みの雰囲気。金色で長髪のロックシンガーみたいなお兄ちゃんが一人でやっているストール。小さなモノから大きなモノまで、値段もピンキリですが、お兄ちゃんのセンスで選ばれた統一感のある英国的モダンなモノ達。その中にこれがありました。
 ザラッとした粗めの手触りのマットな白の釉薬は、部分的に茶色がかっていて味があります。そして、目を引くのが表面に施された装飾。これが最高にカッコ良くて、気になって仕方がありません。お兄ちゃんに聞いてみると「アラン・ウォールワークという英国の陶芸家の作品で、この表面の装飾は木の棒でつけているんだ。表面の色の変化は、焼いた時に出来たもので素晴らしい雰囲気だ。」と、親切に教えてくれました。もう一つ別の作品があって「こっちはまた違う雰囲気で、こちらの釉薬は…」と、聞いてもいないことまで嬉しそうに色々と話し始めるので、この人は自分が好きなモノを集めているのだろうなって思いました。少しTetsuと似た雰囲気を感じました。
 問題は値段。こんな作家さんの適正価格なんて知るはずもありません。一応マーケットなのでお兄ちゃんにディスカウントできないか聞いてみると「10ポンドだけ引くけど、これが限界だよ。クリスティーズでも取引されるような作家で、そこでの取引値と比べれば大分安いよ。これは僕が直接にスタジオから別の大きなモノと併せて買い付けたからできる金額なんだよ。」とのこと。このお兄ちゃんのモノを見る目と、モノ好きが高じて商売するようになった雰囲気を信じることにしました。また、対価として自分が払っても良いと思える金額でしたしね。
 そんな時にMamiが、このベルも可愛いんだよねって、どこからか見付けてきた可愛い真ちゅう製のベルを鳴らしてアピール。すると「じゃあ、それもギフトとして付けるから」って、さすがMami!おまけのベル付きで、お買い上げ!
 その晩にホテルに帰ってガイドブックを見ていたら、別のスピタルフィールズというマーケットのページにお兄ちゃんが載っているのをMamiが発見。「なんか見たことあるなーって思ってて」って、Tetsuは全然気が付かなかったよ。しかも良さそうなお店だなと思っていたところなのに…。ちなみに名前はコリン・サーガスさんって書いてあります。スピタルフィールズがアンティークをしている木曜日に行ったら、やっぱりいました。向こうも気がついたので、本を見せたところ「これは去年の写真だよ。」と言って、嬉しそうに他の業者仲間に本を見せていました。
 帰国してから調べると、英国では有名な陶芸家の作品のようですね。底に刻まれたAWのサインは、1962年頃以降に作られた一点モノの作品につけられたとのこと。作風からして、比較的後年の作品だと思います。気になる値段ですが、ちょうどeBayで同じデザインと大きさで鉢型のモノの出品があって、なんと我が家が買った2倍で落札…。お兄ちゃん、いいヤツだー。
 
Memo:
 アラン・ウォールワークは1931年出生の英国の陶芸家。ロンドン大学ゴールドスミスカレッジで陶芸を学び、卒業後の1957年からロンドンで創作活動を開始。1964年から活動の場をイングランド南西部のドーセット州に移す。表現力豊かな陶器製の壷や鉢を多彩に創作しました。また、助手の共同作業により作られたタイルが多く流通しており、代表的な作品のひとつとなっています。後年は彫刻的な作品を多く手掛けており、ゴールドスミス時代の師であるゴードン・ボルドウィン[Gordon Baldwin]の影響もうかがえます。作品はV&Aを筆頭とする多くの美術館に収蔵されており、日本では京都国立近代美術館に収蔵作品があります。


posted by Mami & Tetsu at 10:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 置物>花器
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。