Aug13,2008

#177 Paratiisi B/W

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ビルガー / ビルゲル・カイピアイネン[Birger Kaipiainen]デザインのアラビア[Arabia]製のティーカップ&ソーサー / Paratiisi

 フィンランドの陶芸王子ことビルガー・カイピアイネンが1969年にデザインした名作パラティッシのブラック&ホワイトです。
 とても人気があるシリーズですので、同じモノを持っている方も多くいるのでしょうね。北欧ブームが盛り上がっている時期に生産停止となったため、一時はかなりの話題となり、知名度を押し上げたようにも思います。
 このカップ&ソーサーは、生産されなくなったとか、デザインが素晴らしい等という理由以上に、我が家にとって特別な価値を持っています。
 これはブログを通じて知り合ったTOMちゃんが見つけてくれたモノ。その当時はドイツに住んでいて、買ったのもドイツのお店。日本へ一時帰国する際に、我が家へ送ってくれました。こんなワレモノを持って帰るのは大変ですし、きっと余分な荷物だったと思います。しかも急な用事で帰ることになった中だったのに…。でもTOMちゃんは、そんなことを全然に気にしなくていいよという感じで、しかも送ってくれた箱の中にはカップだけでなく、プチプレゼントのドイツのチョコレート等まで!その気持ちが嬉しくて、二人で感動してしまいました。お返しをしなくてはいられないと、こちらからも神戸のお菓子やお茶などの、ちょっとしたモノを送ってから、色々やりとりする仲に。お手製のフェルト細工やクリスマスカードを送ってくれたりと、ハッピーなサプライズをくれるTOMちゃん。ブログを超えたつながりのきっかけとなった、このカップは、我が家にとって大切なモノです。
 その人にとってのモノの価値は、マーケットでの値段や評価の高さで決まるのではなく、出会いや思い出などの様々な要素が加わった、そのモノに対する思いによって決まっていくのだなと実感しています。

 さて、話をパラティッシに戻します。日本国内では爆発的な人気を誇るブラック&ホワイトですが、2005年12月に廃番となってしまいました。入手が困難になるかという状況が日本での人気に拍車をかけ、しばらくの間は、入荷予定の店舗では予約が殺到し、オークションでの落札価格が高騰する事態に。思っていたよりもストックが出回っており、商売のためとはいえ、あちこちからかき集めてきたバイヤーさん達の尽力により、沈静化しつつあったのですが、昨年になって非継続を前提にアラビアが再販に踏み切ったことに、日本の影響があったことは間違いないでしょう。もっとも廃番になったのはブラックの方だけで、カラーの生産ラインは現役ですので、再生産はそれほど難しいことではないとは思いますが…。
 実はパラティッシは1974年に一度生産停止となっています。アラビア社がカラー、ブラックの両方の製造を中止することを決めました。この決定は物議となり、同じく製造中止となったカイ・フランク[kaj Franck]のキルタ[Kilta]シリーズと共に、国家遺産にすべきだという論議にまで発展。その後、キルタは1980年にティーマ[Teema]として、パラティッシはカラーが1987年に、ブラックが2000年に復活することとなります。
 ようやく復刻されたブラックの生産が5年後に再び停止された背景には、欧米でのカラー人気にあるようですね。ここまでブラックに人気が偏るのは日本特有らしく、おそらく配色や模様が日本人の好みにあっているのではと思います。なくなりそうになるとプレミアのようなものを感じて、急に飛びつく日本人の悪いクセだなんて言う人もいますが、廃番品の中には欧米の方が高値がついているモノもありますし、プレミアにもお国柄がでるみたいです。
 パラティッシはカラーの方がスタンダードモデル。デザインのベースとなったといわれる「鳥とフルーツの皿」とほぼ同じ色使いです。カイピアイネンの世界観をプロダクトラインに反映した、すばらしい色彩。そもそもパラティッシとは英語でParadiseを意味します。日本だと楽園と訳されそうですね。色とりどりの植物を見ると、なるほど楽園ぽいと感じますが、地上の楽園ではなくエデンの園の意です。同シリーズでは無地の黄色と白の単色の製品も作られており、そのテーマに合わせて、黄色がアダム・白がイヴと呼ばれています。
 そう思えばブラック&ホワイトの配色は楽園とは大分イメージが違いますね。カラーは夏を、ブラックが冬を表しているという話を聞いたことがありますが、エデンの冬というのも何やら意味深です。同じパターンをモノクロにするだけで、雰囲気の異なる1つの完成されたデザインに仕上がっているなとは思っていましたが、カイピアイネンの真意は何だったのか、興味深いところです。

Memo:
 ビルガー・カイピアイネンは1915年出生のフィンランドの陶芸家。日本ではパラティッシのデザイナーとして知名度が高いですが、アラビアに在籍した1937年から亡くなる1988年までの約50年間のキャリアのほとんどをアートデパートメントで過ごし、数多くの芸術的作品を残しました。同時期に活躍した機能的なプロダクト製品を手掛けたデザイナー達とは異なり、装飾的なデザインが特徴。鳥や植物をモチーフとすることも多く、その幻想的なデザインは、ルネッサンスから中世までの工芸・美術の影響があるといわれています。また、陶製ビーズで製作された大きな鳥のような個性的な作品にも、既存の概念にとらわれないカイピアイネンらしさが現れています。その作品群は国内外での評価がとても高く、フィンランドで最も有名な陶芸家の一人とされ、陶芸のプリンス[Prince of Ceramics]や装飾デザイナーのキング [King of Decorators]と賞賛されています。1977年にはプロフェッサーの称号を得て、1980年代前半から国の美術家奨励金を受けていますが、仕事日には毎日アラビアへ足を運び、陶芸に愛を注ぎ続けたデザイナーです。
[参考文献:biotope / Arabia Museum


posted by Mami & Tetsu at 19:11 | Comment(2) | TrackBack(0) | テーブルウェア>陶磁器
この記事へのコメント
Mami&Tetsuちゃん〜、(T_T)
随分前のことなのにこんなに細かに覚えていてくれてて。そしてその時のMami&Tetsuちゃんの気持ちが今またじわじわ伝わってきたよ。嬉しくなちゃった!アリガトウ!
私もパラティッシ大切にしなくちゃって改めて思ったよ。
一瞬手放してしまおうかなって思うモノがあった時、そのモノとの思い出とか出会いの印象が大きいモノって手放せなかったりするね。(うちの場合SHIBAちゃんの評価が悪いものは結局手放すんだけど。)
パラティッシって黄色と白のデザインもあるの?それも面白そうだね〜。実物を見てみたいけど日本には輸入されてないのかな?
パラティッシの色はいろいろあるみたいだけど、
高橋みどりさんの本で紹介されていた”ブラパラ”を見て以来北欧デザインに興味が出たのでやっぱり私の中では白黒!Mami&Tetsuちゃんはどれが好み?デザイナーのカイピアイネンさんはどっちなんだろうね。
Posted by TOM at 2008年08月14日 21:51
TOMちゃん、こんばんは!
パラティッシを送ってくれた時のことは、本当に嬉しかったから、覚えているに決まってるよ〜♪
もっと早くに記事にしようかと思っていたんだけど、Tetsuのうんちく調べに時間がかかって…。

我が家も、やっぱり白黒が好みかな。でも、カラーも大きめのプレートやボール等の柄がはっきりでているアイテムは、雰囲気がよくて捨てがたいだよね。
黄・白の単色カラーはヴィンテージでしか見たことがないので、再生産はしてないのかも…。無地だから雰囲気的にはティーマに近い感じ。初めて白いパラティッシを見た時は、プリントし忘れたのかと思っちゃったけど(笑)

まだまだ暑い日が続きそうだね。ちょっと遅いけど暑中見舞い申し上げます!
Posted by Mami & Tetsu at 2008年08月16日 22:46
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